皆様の生徒さんやお子様の中に「宿題で、わからない問題の答えを見て、書き写してしまう」ということをなさる方はいらっしゃいませんか?
一般的に、こうした行動は「ズルい」という非難の対象にされがちです。
しかし、私自身は、この【答えを見て書き写す】という方法は、有効活用できる価値があるものだと考えております。
ただし、誤解を招かないよう、いくつかの条件下での学習方法であることをお伝えいたします。
今回のお話をご覧いただき、「なるほど」と感じていただければ幸いです。

◆なぜ、答えを見てはいけないのか?
結論からお話をいたしますと、【自力で考える力が育ちにくいから】となります。
私も、既に解説をした考え方や問題であったり、以前に学習した範囲であれば、「間違ってもいいから、とにかく自力でやってみよう!」というスタンスでおります。
生徒やお子様の中には
「間違えたくない、間違えると恥ずかしい、間違えると怒られそう」
といったネガティブな想いが存在しています。
そのため【答えを見て書き写してしまう】という行為や、「先生、これ、この答えで合ってる?」と都度確認をしたがる行為が見られます。
つまり、【自信のなさ】の現れと言えます。
こうした行為を極力減らし、生徒やお子様たちに自信と自力を少しずつでもつけてもらえるように、私たち指導者は「間違ってもいいよ」と一言添えることで、生徒たちの不安や恐怖というネガティブな想いを軽減させることが大切になります。
◆答えを見ることのメリット
このように、【答えを見ること】は、生徒やお子様たちにとって【心の予防線】と呼べるものですが、場合によっては【答えを見ること】が学習のメリットになることもたくさんあります。
①予習範囲のお手本になる
まだ学校で習っていない漢字を予習するとき、その漢字の読み書きを知るだけでは、いざ漢字ドリルや問題集で文の中での使われ方を答えようとしても、未知の領域になるためにわからないことがほとんどです。
勿論、
「今回初めて出てきた漢字と、前に習ったことのある漢字が使われているよ。間違ってもいいから、何が当てはまるか当ててみよう」
と、ささやかながらもヒントを提示することも大切です。
しかし、特に漢字のような暗記ものは、新しいものを覚えることで記憶が上書きされることで忘れてしまいがちです。
そのため、一度答えを見て確認し、「あ、この漢字は、こういう意味で使うものなんだ」と納得することで、正しい使い方を覚えられるようになります。
②問題の解き方がわかる
これは、算数・数学や理科で起きることですが、
「公式を覚えても、どこにどの数字を当てはめればいいのか、わからない」
「どの順番で、どのように解いてゆけばいいのか、わからない」
ということから、問題を解く手が止まってしまいがちです。
そんなときに、答えを見ながら使うべき数値の当てはめ方や、複雑な面積の求め方などをつかんでゆきます。
ゲームでいうところの【攻略サイト・攻略本】にあたります。
また、国語での【文章中の言葉を使ってまとめる】という問題も、
「あてはまる部分は見つけられているのに、どこをどう拾ってまとめればいいのか、わからない」
という理由から、多くの生徒やお子様に敬遠されがちです。
そんな問題にも、サンプルとしてのまとめ方が手元にあれば、コツをつかみやすくなります。

◆答えを見ることの有効活用
このように、学習サポートとしての【答えを見る】にはメリットがたくさんあります。
では、これらのメリットをどのように有効活用してゆくかについて見てまいりましょう。
①暗記編〜【見る⇔見ない】を繰り返す
漢字の書きならば、
・まずは答えを見ながら書き写す
↓
・何も見ないで問題を解く
これを繰り返します。
プラスアルファの学習にするならば、ここで単純な暗記作業に留めてしまうのではなく、「この文で使われているということは、この場面での漢字の意味はこうなる」という【意味づけ】を意識するとよいですね。
そうすることで、【同じ読み方をする漢字との使い分け】ができるようになり、混乱を防ぐことができるようになります。
例)かんしん
1、小さい子供のあいさつに感心する。→心を動かす。いいなぁと思う。
2、日本の文化に関心を持つ。→知りたいと思う。興味を持つ。
②実践編〜【同じように実際に解いていく→見ないで解く→類題を見ないで解く】
暗記編と基本的には似ていますが、くれぐれも丸写しにならないようにする必要があります。
そのためにも、
・本当に答えの通りの計算になるか、自分も確かめて計算してみる
という、答えを見る中にも自力との答え合わせをしてゆくことをおすすめします。
そして、手順が理解できたところで、同じような手順で解いていく類題チャレンジを行います。
「これでいけた!」と自力でやってみたことで、少しずつ手応えが自信につながってゆきます。
国語のまとめ記述であれば、
・答え(サンプル)に書かれている部分を文章中で見つけてラインを引く
という作業も是非取り入れてみましょう。
自分であたりをつけていた部分に当てはまるところがあれば、どこをどう拾ってまとめればいいのかが理解しやすくなり、部分と部分のつなげ方は今後の参考として活用できます。
作文の書き方にも共通していますが、スポーツ等の技術を伴うもので【上手な人を参考にする】ということと同じことになります。
最初は見様見真似で慣らしつつ、そのうちに、自分のスタイルとしてつかんでゆけるようになります。
◆もしも「あれ?答えを写した?」と疑わしい場面に遭遇したら……
生徒やお子様の中には、宿題はよくできているのに、先生や保護者様の眼の前で問題を解くと間違えまくってしまう……というケースが存在します。
そして、「あれ?これ、もしかして……。宿題、答えを写した?」という疑惑が。
しかし、そんな場面に遭遇したとしても、ダイレクトにたずねることは避け、その代わりにこんなふうに伝えてみるとよいですね。
「宿題ではできていたから、じゃあ、一緒にもう一度宿題を見てみようか。ここの考え方、どんな感じだったかな?」
①生徒やお子様が正しく言えている場合
「そうそう、それでいいよね。じゃあ、さっきやってみた問題でも、同じことが言えるんじゃないかな?もう一度、さっきの問題をやってみよう」
と、実は計算ミスだった可能性も浮上します。
②生徒やお子様が正しく言えなかった場合
ここで先生や保護者様が真相を追求する必要性はなく、
「わからなくなっちゃったかな?じゃあ……答えを見てみようか」
と伝えてみましょう。
生徒やお子様は、いい意味で驚くでしょう。
自分たちには
「宿題の答えを写すのは悪いことだけど、わからないから何も書かなかったら、宿題をやらないのと同じかもしれないから……」
という背徳感が存在していると思われますので、指導者から「答えを見てみようか」と提案されると、自分のしたことを非難されない安心感だけでなく、【一つのお手本ツールとしての答え】という捉え方もあるのだという新たな発見につながるのですよね。
生徒やお子様の【悪いことを隠れてした】ということへの恐れと不安をじっくり解きほぐしながら前を向くためのフォローができれば素晴らしいですね。

◆最後に
ここまでのお話で、答えを見ながら問題を解くことは、宿題や練習で実践するならば必ずしも悪いことではなく、基礎力向上のための有効活用になるということを感じていただけたかと思います。
どの方法にも通じますが、【ただの真似】ではなく【基本的なことをつかむためのお手本】として答えを活用することに意味があると言えます。
面白いもので、宿題をやりたがらない生徒に
「わからなかったら、答えを見てもいいよ。ただし、そのやり方がわかっているかどうかは、次回の授業で確認テストするからね」
と伝えると、「ウェーイ!!!」とはしゃぎます。
わからないものをやりたくないのは誰だって同じですし、【身につけるなら、その方法もアリ】と相互認識できると気持ちが軽くなるものです。
そして、次第に「答えを写すの、めんどくなってきた!」と言い始めると、自分がしていることが【ただの真似・模写】であり、本当の意味での勉強になっていないことに気づきます。
「ちゃんとやり方理解して解く方がいいし、楽!」
となれば、しめたものです。
自分で解けるようになれば、答えを見ることに頼らなくてもよいわけですから。
この一連の流れは、生徒やお子様の心の成長にとっても役立つサポートツールかもしれません。
どうぞ、皆様も【答えを見ながら問題を解く=悪】と断定なさらず、一つの学習サポートツールとお考えいただきながら、生徒やお子様をお見守りいただければ嬉しいです。
ただし【テスト本番中は除く】で。

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