ご家庭でお子様の勉強を見ることは、楽しいばかりでなく、時としてもどかしさやいらだち等を感じてしまうこともあるでしょう。
それは「子供が自分の解説を理解できない・子供に自分の解説を上手く伝えられない」「子供が同じミスを何度も繰り返す」「子供がなかなか覚えられない」…等の状況改善が見られない場合に起こりがちです。
「どうしてわからないの?」「どうしてできないの?」「さっきも言ったでしょう?」と、ついつい苛立ちを【お子様のためを思って】言葉や態度に表してしまうと、それは【勇気くじき】となり、せっかくのお子様との学習が残念な結果になりかねません。
では、どうすれば【勇気くじき】を回避できるのでしょうか?
◆【勇気くじき】とは
心理学者のアルフレッド・アドラーさんで有名になった言動・行動パターンで、相手に困難を乗り越えようとする意欲や力を呼び起こす【勇気づけ】と対極にある「相手から困難を乗り越えようとする意欲や力を奪うこと」にあたります。
アドラー心理学では「相手を変えることはできない」としながらも、「自分が変わることで相手との関係が変わる」ということが健全な発想であるとされています。
【勇気くじき】とは、この発想ではない「相手を操作して変えようとする」という発想につながると言えます。
先述の「どうしてわからないの?」「どうしてできないの?」「さっきも言ったでしょう?」等の苛立ちをぶつける言葉は、【お子様のためを思って】という建前に潜む【お子様の不出来によって自分が恥ずかしい想いをしたくないから、お子様に自分の思い通りになってほしい】という恐れと欲求から生まれてしまうものです。
申し上げるまでもなく、自分自身のためになってしまうという本末転倒の事態に陥ってしまうと言えます。
このような苛立ちを感じてしまわれた場合は、「なぜ、自分は我が子の勉強を手伝おうとしたのか?」という問いかけをご自身になさってみてくださいね。
◆お子様は親御さんの子供時代の鏡
では、お子様への学習指導がうまくいかない場合は、どうすればよいのでしょうか?
要因は様々だと考えられますが、打開策として以下の3つの方法が挙げられます。
1)「わからないところはない?」→「ない」にも関わらずできない場合は、どこでつまずいているのかを一緒に探る
算数ですと、計算の方法や順番が間違ってしまうことがあります。
「4×6=24のかけ算なのに、4+6=10 のたし算をしてしまった」「3+2×4のような計算では、かけ算・わり算から先にするべきところを左から順番にしてしまった」ということは、よく見られるケースです。
答えだけ見て「違うよ」と言ってしまうよりも、「このかけ算、もしかしたら、たし算しちゃってないかな?」とお子様と一緒に気づきを得るようにしてみると、勘違いやケアレスミスの改善につながります。
「これは2×4を先に計算してから3にその数を足してみるやり方だよ。じゃあ、さっきと答えが変わるかな?」と、あくまでもお子様に気づきを促し、正解にたどり着けるようにサポートしてあげることも、お子様が理解を深める力になります。
また、文章題では、用意された計算(たし算、ひき算、かけ算、わり算を使って数字だけ入れる)の式はできているのに、自分で最初から式を作ることができない場合もあります。
例:35個のチョコレートを7人に6個ずつ配ろうとすると足りません。あと何個チョコレートがあれば足りますか?
そのような場合は、一気に答えを出そうとするのではなく、「チョコレートは何個あればいいのかな?」という、まずどこから考えるべきかを一緒に整理して、使える計算方法を式にしてみましょう。
それができてから「そのチョコレートの数は、35個よりもいくつ多い?」と次の計算に移ります。
こうすることで、お子様は問題の解決手順や道筋を立てる力が身につくようになります。
2)答えを言うのが難しい・迷いやすいタイプには選択肢の提示or「指差していいよ」を
国語では、説明文の指示語(こそあど言葉=これ、それ、あれ、どれ、等)の内容や、物語文の登場人物のセリフや表情の描写から読み取れる心情等について「どう答えればいいのかわからない」というお子様が多く見られます。
指示語の内容は「前の部分を見る」ことでほぼ解決しますので、「それは、とても嬉しい経験でした。」であれば「どんなことが嬉しい経験なのかな?」と、問の内容を解きほぐすように投げかけてみるとよいでしょう。
言葉にするのが苦手なお子様や自信が持てないお子様には「これかな、と思うところが文章の中にあったら、そこを指差していいよ」とフォローしてあげてみてくださいね。
また、英語の動詞の使い分けでは「私は英語を勉強する」という文を作る際、「私は=I」の次に「am」を置くべきか「study」を置くべきか迷う場合には「勉強するって、動作や行動?それとも、様子や状態?」と選択肢を提示してみましょう。
すると「動作や行動」というものを選べなくとも、「勉強するって動作や行動だから、amは使わなくても大丈夫だよ」と認識を持てるようになります。
この方法は、あらゆる科目に使えますので、是非チャレンジしてみてくださいね。
3)目の前のお子様が当時の自分だと思って接する
実は3つの中で最も大切な打開策になります。
皆様は、お子様のリアルタイムと同じ頃、お子様と同じようなことでつまづかれたご経験はございますか?
あるいは、「どうしてわからないの?」「どうしてできないの?」「さっきも言ったでしょう?」と言われて悲しい想いをなさったご経験はございますか?
無意識のうちに封じようとしたり忘れたと思っているつもりでも、意外とそうした経験は心の奥深くに息づいているものです。
もしかすると、目の前のお子様は、あの日の皆様ご自身かもしれません。
(あやしい思想ではありませんが…)
そう思うと、あのとき自分はなんて言ってもらえたら頑張れそうな気がしたか、なんとなく見えてくるものがあると思われます。
過去記事ですが、ご参考になりましたら幸いです。
↓
皆様ご自身には、当時よりも人生経験を積み重ねてきた分、学んできたことが無意識に活かされた実感も伴ってわかるものであっても、お子様はまだ人生経験も皆様に比べますと浅くて当然ですので、わからないことだらけ&できないことだらけなのですよね。
大切なことは【お子様と目線を合わせる】ということです。
大人だから、親だから……ではなく、同じように学びに向き合う者同士として、あの頃はわからなかったことを改めてお子様と一緒に理解し、できなかったことを改めてお子様と一緒にできるようになる喜びは、お子様にとりましても大切な人間育成の宝物になるでしょう。
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いかがでしょうか?
実際にやってみようとなさると試行錯誤になるかもしれませんが、トライ&エラーが一番です。
お子様への学習指導は、保護者の方の人間力をレベルアップさせるチャンスになります。
今にして思えば、私も小学校低学年の読書感想文では、「この感想を抱いた場面がわかりやすく伝わるように、誰が何をした場面かもしっかり書こう」と意識したものの、下書きを目にした親から「これは感想じゃなくて、あらすじだよね」と突きつけられ、文章を書くことが怖くなってしまったことがあります。
それだけでなく、「どうしたら親に納得してもらえる文章になるかな?」と筋違いの不安に駆られたものです。
きっと、あの頃の私は「自分がこの人物の立場だったら、どうしたと思う?」と気づきへの促しや発想への材料を提示してもらえれば、小学校低学年という少ない語彙力にもかかわらず、もう少し内容のある読書感想文を書けていたかもしれません。
お子様の学習は、決して【保護者様の顔色をうかがうためのバロメータ】ではありません。
豊かな学びの力と発想力を育むためにも、気づけばお子様への【勇気づけ】になっていた!というご経験が増えてゆかれると嬉しいです。
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