よく「塾の先生やってみたいんですけれど、やっぱり何か資格的なものがあったほうが有利なんでしょうか?」という質問をいただくことがあります。
結論から申しますと「何もなくて大丈夫」です。
アルバイトでしたら大学生から始められるため、大学卒業と同時に取得できる教員免許も必要ないものです。
反対に【なくてもいいもの】でしたら、あります。
今回は、そんなお話です。
上記の【教員免許】の他に、塾講師になるために【なくてもいいもの】は、大きく3つあります。
1)高校時代までの成績の優秀さ
生徒への学習指導上、それなりの高校偏差値(少なくとも50以上)はデータとして重視されますが、在学時に必ずしも優秀な成績でなくてはならなかったのかと申しますと、そうとは言えないものです。
むしろ、得意科目の中にも苦手な単元があったり、克服方法できた科目や単元があったりしたほうが好ましいものです。
なぜならば、生徒たちは【わからないことをわかるようになりたい】【できなかったことをできるようになりたい】という目的で教室に通うため、その気持ちにどれほど寄り添えるか、共感力が大切になるからです。
テンプレのようなクレームとして「こんなことも知らないの?わからないの?」と講師から上から目線で言われた…というものがあります。
講師からすると当たり前のことであっても、生徒には「なにそれ美味しいの?」という状態であり、わからないから講師の目の前にいるのですよね。
このようなトラブルを招いてしまう原因は、講師サイドの共感力にあると言えます。
あくまでも【生徒と目線を合わせる】ことが重要です。
2)得意科目へのプライド
自信のある科目を指導するにあたり、ついつい専門用語を使って解説をしてしまったり、生徒が間違えた問題演習において答えを言ってしまったりすることがあります。
ここで怖い勘違いを生みやすいのが【得意科目へのプライド】になります。
確かに、「三単現」とか「同類項」などの専門用語を使うことは、考え方を整理して分類する上では便利です。
しかし、それらを使うことにある種の優越感を抱いてしまうことは、生徒を置き去りにする可能性につながります。
解説において必要なときは、「この言葉、聞いたことある?」と生徒に確認をとってみてくださいね。
反対に、知らなかった専門用語を内容共に理解できた生徒は、新しい必殺技をマスターした感覚になれて、ちょっと嬉しいかもしれません。
また、生徒が間違えた問題に対して、解き直しの前に答えを言ってしまうことも、生徒の成功体験の機会を奪ってしまいかねません。
生徒からすると、わからない問題や考え方が一歩ずつでも1ミリずつでも前進して光が見えてくる感覚が欲しいのですよね。
場合によっては先に答えを言うことが必要なときもありますが、そのときは一緒に答えに行き着く考え方を探る方向で行ってみてくださいね。
大切なことは【その科目の魅力を生徒目線で感じてもらう】ということです。
3)【良い生徒になろう】と思うこと
これまでの2つの総括になりますが、どんなに「生徒にわかりやすい授業をして生徒に好かれたい」と思うゆえに準備や練習をしても、相手も人間ですので、シミュレーションどおりには行かないものです。
対人関係の相性もあるため、歩み寄りの努力をしたところで、すべての生徒とうまくやってゆける可能性は高いとは言えないものです。
私自身の経験でも、100人に2人くらいは「どうも先生と合わないようなので変えてもらってもいいですか?」というケースがありました。
そのときはショックですが【仕方ないよね人間だもの】という割り切った感覚も必要です。
また、こちらが頑張って用意した解説を生徒が理解しきれなかったり、反対に既に知っていたり…なんていうことも度々あります。
あるいは、思ってもいなかった質問が生徒から飛んできて、咄嗟の切り返しに窮することだってあります。
こういうときの対処法は「え?この先生、この科目のこと、以外に知らないの?大丈夫かな?」と生徒に不安を抱かせないように、まずは「先生はこう思うのだけど…」と前置きをしてから「せっかくいい質問をくれたから、他に理由や答えがないか、次回までに調べてみるね」と伝えてみてくださいね。
あくまでも【学習を通じて生徒との関係性を向上させてゆく】ことが一番です。
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このように、塾での授業というものは、決して一方通行ではなく【生徒と一緒に成長してゆくためのもの】と言えます。
担当する科目だからといって、何もかも熟知している必要はなく、むしろ生徒からの質問がきっかけで更なる知識の深みを味わうことができるチャンスになります。
今回は【なくてもいいもの】についてのお話でしたが、敢えて【塾講師になるために必要なことは?】と聞かれましたら、私は以下のように答えます。
科目への探究心と生徒への感心、そして「あのとき、なんて言ってもらえたら嬉しかった?なんて解説されたらわかりやすかった?」という生徒と同じ年頃の自分への問いかけを大切にしてくださいね。
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